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絶え間なく続く痛みー体の病と心の病の関係について

絶え間なく続く痛みー体の病と心の病の関係について

脳脊髄液減少症という病気を、知っていますか?

脳脊髄液減少症とは、通常漏れることのない脳脊髄液が、何らかの理由で漏出・減少してしまい、痛みや頭痛などさまざまな症状を引き起こす病気のことです。

病気としての歴史がまだこの15年ほどであり、見た目では症状がわからないことから、周囲の理解を得られにくい病気でもあります(病気の詳細についてはwikipedia参照)。

24時間、365日続く痛みとの戦い。社会の認知度も低く、患者は孤独になりがちです。

そんな脳脊髄液減少症を患う重光喬之さんに、病気の経過と心の変化についてお話を伺いました。

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脳脊髄液減少症を発症してから今までの経緯

ー病気がわかるまでは、どのような経緯だったのですか?

高校生・大学生くらいから首や肩の痛みはありました。25〜26歳の頃歯科治療のとあと急に体が痛み出し、、会社を数日休みました。その間いくつかの病院に行っても原因不明と言われました。その間いくつかの病院を回っても原因不明と言われました。たまたま、上司に同じ病気の人がいて、もしかしたらと脳脊髄液減少症の家族会を紹介され、そこから当時都内で2カ所しか診察・治療をしていない病院を紹介してもらいまいた。受診までに3カ月。

検査入院までにもう半年待ち。診断されてからこれまで10年が経過しました。

 

ー診断された時の気持ちは?

病名がわかった時は、やっと治ると思いました。病名がわからないから不安だし、医者も理解できない自分はダメなのかなと思ってました。頑張りが足りない、大げさ、怠けているなどなど。病名がわかって安心しましたね。病名や原因がわからないと治しようもないし、周囲に理解もされないから。

診断されたときは、治療したことないけど脊髄注射をするのは分かっていて、っそれさえすれば治ると考えてました。ネットで集めた情報から平均2回の治療で治るだろうと、期待していました。

これで社会復帰できる、これまで何年も調子が悪かったから、数ヶ月くらいなんてことないと思ってました。

ー治療に対する不安はありませんでしたか?

最初は特に不安はありませんでしたね。ずっと調子が悪かったので。これまでの数年分より、(治療にかかるであろう)数ヶ月の方が短いから。それにこの苦痛とおさらば出来るなら何でもしようと思いました。

そのあと、もう一度治療し、1年ほど療養し、症状が良くなったので再就職したけれど、仕事がハードでだんだん体が痛くなってきて、頭も働かなくなって、髪もだんだん抜けてきて、。前にできてたことができない、同じことをするにも何倍も時間がかかるようになって、精神的にストレスがかかってきて。去年は出来てたのにと、そんな自分が嫌になってきて。「これで働き続けられるのか、治るのか」と思ってました。

その頃はまだ憂鬱さとかはなく、自分にイライラしてました。

体の病が心の病へとつながる理由

 ー体の病気を患ってから、心の病も患ってしまうという要因は何だと感じますか?

ひとつは痛み。美味しいものを食べる時も誰かと楽しく話す時もまずは「痛い」なんです。集中できない。痛みに休みがないから、精神的に疲弊していく。休憩がないんです。

寝るときに「あぁ痛いなぁ」って「明日起きても痛いんだろうな」って。起きてもまず、「痛い」。

痛みそのものと、もうひとつは痛いことによっていろいろなことができないというストレス。「痛い」と、「常に自分を偽って社会と接する必要がある。」「仕事が思うようにできない」「人との交流が億劫」。仕事ができない=お金の不安にもなります。

それから、家族とか周囲の人の理解の問題もある。

あとは楽しめないことも大きい。「楽しむ」の前に「痛い」がまずくる、だから楽しくない。心の底から笑うことがなくなり、愛想笑いの日々、というか10年弱。

私の場合は、痛み、周囲の理解、お金、仕事という4つの要因から不安になる。同病者にヒアリングしたときには、これに加えて治療できる病院が少ない、社会的な制度がないなどの不安も挙げらていました。3つくらいあると鬱になりますかね。

あとは楽しめないことも大きい。「楽しむ」の前に「痛い」がまずくる、だから楽しくない。心の底から笑うことがなくなり、愛想笑いの日々、というか10年弱。

  

ー実際にうつ病と診断された時はどうでしたか?

一昨年の12月に初めてうつ病と診断されて、1ヶ月半くらいずっと寝ていました。

トイレ以外は布団の中で、お風呂も5日くらい入れなくて。初めて家族に「助けて」って連絡しました。食べ物買ってきてくれました。

ただ、これより前に脳脊髄液減少症の痛みにより離婚をしました。その時の方が、痛みでの思考停止と自暴自棄でひどいことになっていました。積極的に死にたくはないけど、外的な要因があればいいなというのが続いていて、無意識的な行動もありました。どうやったらこの痛みとおさらばできるかで頭の中は一杯に。そんなんだから、元妻にも迷惑をかけると別れました。このあたりのことは他の記事で詳しく書いています。

痛みに堪え切れず離婚を選ぶ【脳脊髄液減少症】|plus-handicap

鬱では、仕事で皆さんに迷惑をかけるのでなかなか休めなかったけど、正直に伝え、休ませてもらいました。親も脳脊髄液減少症とは違い、知名度のある鬱には理解があり心配してくれていたようだし、脳脊髄液減少症の痛みの苦悩よりも少しゆとりがありました。休めたからというのもありますかね。

あまりに痛い日々の中、他のストレスが続き昨秋も精神的に危なかった。楽になれないかなぁっていう。安楽死の施設があったらいいなぁって考えていた。「休んで考えなさい、それでもそうしたいならどうぞ」っていうのがあればって真剣に考えてましたね。もちろん思いとどまり社会に戻す種をたくさん置いた方がいいですが。同病者なら同じようなことを多かれ少なかれ考えているのではと思います。

体の病気が慢性化するということは、心の病気も併発しやすいと思う。ゴールが見えないとか、見通しが立たないものを発症してしまうと、時間とともに、多かれ少なかれ併発してしまうと思う。

ー他の同病者にも似た傾向が?

今、SNSでつながっている同じ病気の人の中にも、結果的に精神を病んでる人もいると思います。

人に理解してほしい、毎日痛くて辛いんだよっていうのをわかってほしいっていうのがある。でも人には伝わらないから、言ってもしょうがないって。でも、奥底にどうしてもわかってほしいっていうのがあると思うんです。私はそうです。諦観の概念は程遠い。

病気を受け入れ、向き合って生きていくために 

ー病気の存在を受け入れるということは、抵抗はなかった?

受け入れられないことはなかったです。逆に、名前がついて嬉しかった。同じ病気の人はたくさん病院を回っているので、やっと診断がついて安心して、よく泣くそうです。やっと認められる、社会にも家族にも、と。

ー痛みとの付き合いはこれからも長いわけだが、これから先について思うことは?

先は考えないです。考える余裕がない。ほんの少し先で限界。いつまで痛みと付き合うのかなとか、仕事続けていけるのかな、とか。お金大丈夫かな、とか。周囲の人はどう思っているのかなとか。

これまでは、そんなの遠い世界の話だと思っていたけれど、今はど真ん中にいるなぁって。低所得者層にも入るし、社会保障もないフリーターみたいなもんだし。

ー何があれば、病気と付き合っていくのに支えになる?


自信を持てるものを作ることですかね。病気になってからいろんなことを散々やって、いろんなものを試しました。

2年弱ジムにはまっていたこともあって、服のサイズが変わるまで筋肉をつけたんですけど、今より元気だったかもなぁって。あとは、音楽が好きなのでパーティーにいくのですが、そういう時もあまり痛みを気にしないですみます。筋トレもクラブもハードだから、痛みの感覚が一時的に薄れるだけだとも言えますが(笑)。

とにかく、なんでもいいから他のことを忘れられることがあればいいんじゃないかな。

あとは理解してくれる人と自分のペースでできる仕事。自分のペースでできる仕事だと、誰でもできる仕事なので、それはそれでまた辛くなるんですけどね。

振返るとやはり周囲の存在、関わりがあることが一番の支えですね。

同病者へ向けたクラウドファンディング

ー今回、脳脊髄液減少症患者向けのサポートサイトを作るためのクラウドファンディングをされてます。それを行ったきっかけは?

僕はなんだかんだ人にご縁をいただいて生かされているので、自分一人で閉じこもるよりも、ゆるやかにでも人と関われば、気楽になれるときもあるんじゃないかっていうのを同病者にも頭の片隅に入れてもらえたらいいなぁと「社会に出たらもうちょっとやっていけるかもよっ」ていうのが軽く伝わったらいいかなって。篭っていても絶対いいことないから。

 同じ病気でも、社会とのかかわりが薄い人には、なかなか理解できないと思います。その環境がないのだから。もっとも、達観して、社会と距離を置いて生活されている方もいらっしゃる。いろいろなスタイルがあっていいし、それが迷っている人の参考になったらいいなと思う。また、中には自死してしまった人もいます。つらいし、大変だけど、もったいないなぁってと思ってしまう。だから押し付けではなく、事例をたくさん置いておく、参考になったらいいなと。

あとは、同病者の出会いや、ライターをはじめてもらったメッセージや問合せを共有したらいいなと思い、他の人もそう思っていると実感できたからです。痛みをどうコントロールして向き合うか。そういうこともサービスに組み込めたらいいなと思ってます。

状況・状態でカテゴライズし症状緩和の知恵を共有し、みんなお金に困っている人が多いから生活の知恵を共有したり、各自のゴール設定を共有してもいいなと、結婚して、子供は一人、月に20時間仕事をして、お金はいくらぐらい稼ぐとか。

あとは社会復帰した人の情報はなかなかないので、それを集めて社会復帰を目指している人の参考にできたらと思う。

ー今、こうしていられるのは、やっぱりまわりに人がいるから?

そうですね。面倒だけど、会えば会ったでいいこといっぱいあるから。

スクリーンショット 2016-01-26 23.47.37↑ 重光さんのクラウドファンディングは1月27日まで。あとわずかな時間ですが、是非支援をお願いします!

 

脳脊髄液減少症を発症してからの経過の中で、うつ病を発症した重光さん。その2つの病気について、「脳脊髄液減少症に関しては理解があまりないけど、うつ病は理解してくれた。社会的認知度の違いなんだなと。ショックだった。」と話していました。

脳脊髄液減少症にかかわらず、体の病気を抱えたことによる不安や心身へのストレスで、心の病を発症することは珍しくありません。

重光さん自身、「他の病気にもフォーマットを切り替えて使うことができれば」と話すこのサービスが広がり、心まで病んでしまう人が少なくなってほしいと思います。

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