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遠隔医療の可能性ー精神科医療へ導入することのメリット・デメリットとは

遠隔医療の可能性ー精神科医療へ導入することのメリット・デメリットとは

実際に病院へ行かなくても、医師の診察を受けることができる「遠隔医療」というシステム。
今までは原則禁止とされていましたが、先日、厚生労働省が事実上の「解禁」とする通達を出したことで話題となりました。

IT分野の発達に伴って、遠隔でも質の高い医療の提供が可能になることが期待されていますが、
このシステムを精神科医療へ応用することのメリットとデメリットとはなんなのか、考えてみたいと思います。

 

遠隔医療の可能性

これまでの診療は、医師と患者の直接対面によって行われることが基本であり、遠隔診療はあくまでそれらを補完するものという考えが、厚生労働省がこれまで示してきたものでした。
しかし、今回厚生労働省から出された通達には、事実上の「解禁」と言われる内容が明記されていました。

遠隔診療を今後進めることができれば、通院時間の短縮化に繋がったり、家庭での状態をモニタリングできるというメリットが挙げられています。

※参考リンク:遠隔診療、事実上解禁 「ソーシャルホスピタル」へ前進|日本経済新聞

これまでは離島やへき地のみと解釈されてきた遠隔医療。それ以外の人たちにも利用の可能性が出てきたことで、
医療の質も向上することが期待できます。

 

精神科医療と遠隔医療

精神科医療の分野においても、遠隔医療の活用が期待されています。
そこで、精神科で働く看護師として、期待できるメリットと検討すべきデメリットについて考えてみたいと思います。

 

期待できるメリット

まずひとつは、患者にとって直接病院へ行かなくても良いという負担の軽減が挙げられます。

精神疾患を患った患者にとって、外出するということは大きな負担。人ごみや公共交通機関、
人の目などを気にして外出ができない人はたくさんいるのです。
それが原因で受診に対して拒否的になってしまい、治療から遠ざかってしまう可能性もあります。
しかし、遠隔医療を活用することができれば、診察を受けるためのハードルを大きく下げることができます。
受診をためらって初期治療が遅くなってしまったり、治療が断絶したりしてしまうことが少なくなるかもしれません。

薬の処方だけなど、家族の代理受診であったとしても、家族とともに患者が自宅に居れば、本人とコンタクトを取れる可能性も上がります。

また、睡眠時の状態やバイタルサイン(体温・血圧・脈拍など)を機械を使ってモニターし、医師側へ送信することができれば、
精神疾患を患った場合のパターンを見出すことができるかもしれないと言われています。

身体のパターンを見つけることができれば、症状の波も把握しやすくなり、疾患のコントロールもしやすくなるかもしれません。

 

考えられるデメリット

精神科疾患は、検査など客観的に状態を把握するための指標となるものが存在しません。
それゆえ、医師をはじめとした医療従事者の観察スキル、問診スキルが重要となってきます。

しかし、モニターだけでは十分な観察を行うことは難しいかもしれません。

例えば、少しの顔色や表情の変化。声のトーン。
これらは、患者の症状を把握するための一つの目安となります。

また、手足の震えや歩行の状態などを見ることで、薬の副作用が出ていないかを見ることもできます。

これらの情報が、モニターやマイクといったものを通してきちんと把握できるかどうかは、まだわかりません。
それに十分な通信機器があったとしても、それを自宅などに設置できるかどうかもクリアすべき課題でしょう。

客観的に見ることができないデリケートな疾患だからこそ、把握したい細かな情報。
それらを診ることができなければ、精神科の診療としては十分なものとは言い難いです。

ある程度データで経過を終えるような身体の慢性疾患(糖尿病など)と比べて、導入するのは少し難しい印象です。

 

 

まだまだ課題は多いとはいえ、遠隔医療は大きな可能性を秘めていると言えます。
特に、自ら病院へ行くことのできない人にとって、大きな味方となるでしょう。

今後、使用するツールを含めた開発が進んで行くでしょう。
患者にとっても医療従事者にとってもメリットの大きい診療方法になることを期待したいと思います。

 

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