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【本】うつは自分を見直すきっかけなのかもしれないーこんなツレでゴメンナサイ。/望月昭

【本】うつは自分を見直すきっかけなのかもしれないーこんなツレでゴメンナサイ。/望月昭

うつになると、多かれ少なかれ「今までの自分は何だったのだろう」という思いを持ってしまうんじゃないかと思います。うつになるまでの間にしてきたことすべて、意味がなかったのではないかと思って落ち込んだりすることも少なくありません。

しかし、そんな状況を乗り越えて、自分らしい生き方を見つけた1つの例があります。それが、「ツレうつ」で有名な夫婦の夫、望月昭さんです。

「ツレうつ」夫側視点で書かれた本

今回紹介する本は、望月昭さんのエッセイ「こんなツレでゴメンナサイ。」です。

2014-07-10-09.15.04

 

誰なのか、というと、「ツレうつ」の夫であると説明したら分かる人も多いかもしれません。映画化もされた、細川貂々さんのコミックエッセイ「ツレがうつになりまして。」で描かれた、うつ病になってしまった貂々さんの夫です。

 

この本を初めて読んだときは衝撃でした。コミックエッセイということでライトタッチで描かれているけれど、うつ病の現実をしっかりと描かれていたから。当時は私自身もがっつりうつ病なときで、同じ人がいるんだと少し安心して、勇気をもらったことを覚えています。

それから、しばらく本などを読まない時期もあったので、夫側から書かれたエッセイが出ていることを知りませんでした。数ヶ月前にふと偶然見かけて手に入れてみたのです。

 

よりリアルなうつ病体験

このエッセイには、元となったコミックエッセイでは見えなかった部分が細かく書かれています。発症するまでの心身の変化や、どう発症してうつと向き合っていったのか。発症して最初のころから回復期をどう乗り越えたのか。妻である貂々さんとはどのようなやりとりがされていたのか。生い立ちから貂々さんとの出会いまでも書かれています。

今、うつの症状で苦しんでいる人には、一部つらい内容もあるかもしれません。うつのつらさだけでなく、自殺未遂の経験についても、冷静だけどリアルに描かれているから。でも、うつで苦しんでる人って死ぬことを考えることって多いから、ある意味では共感できるかも。私自身もそんなことをしてしまった経験があるから、私だけじゃないんだと安心したりもしました。

 

また、行動だけじゃなく心情の変化もリアルです。仕事をしようと焦り、家事に集中しようとしてもうまくいかない。心の安定を求めていろんなことをしてみては、うまくいかずに落ち込んだり。ツレさんがどれだけ試行錯誤して、この局面を乗り越えようとしてきたかが分かります。そして、多くの部分が自分に重なります。私もそんな感じだった、と。うつを経験した人なら、大部分を理解できるんじゃないでしょうか。

 

紆余曲折の末に見つけた居場所

「ツレがうつになりまして。」が出版されたのは、まだツレさんのうつが回復しきっていない頃。出版された本が反響を呼び、徐々に貂々さんの仕事も増えてきました。そんなときにツレさんは、なんと会社を立ち上げてしまいます。貂々さんの本をはじめとする仕事を管理する会社です。IT企業でバリバリと働いていたころには戻れない。けれどツレさんは、自分で自分の居場所を見つけて、作ってしまったのです。

仕事がストレス源となっていた場合、同じ職場に戻るのは難しいことが多いでしょう。かなりの時間を要するし、無理に戻ろうとして症状が悪化することもあります。うつ病患者の復職は、社会的に見ても大きな課題だと思います。ツレさんがこのような形で自分にできること、自分の居場所を見つけることができたのは、とても幸運だったんじゃないでしょうか。

うつになると、みんな自分の生き方や働き方を考えると思います。いや、考えなくちゃいけないときが来るのです。なぜなら、病気になる前となった後とでは、同じ生き方ができないから。

病気をきっかけに自分のあり方を見直すことは、それからの人生をいかに自分らしく生きられるかにつながってくるはずです。

 

本を読み終えて

うつの症状は人それぞれで、必要な対応も様々です。でも、ひとつのうつ病の事例としてとても参考になる本だと思います。

苦しんでいるのは自分だけじゃない。時間はかかっても、本当の自分らしさを取り戻すことは可能なんだと、教えてもらえる1冊です。

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